はせがわクリニック院長 長谷川俊之です。
胃癌の原因となるピロリ菌に関して、御自身や御家族も感染していないか心配されている方もいらっしゃると思います。
今回は、ピロリ菌の検査について実際どのようにされているか、お話したいと思います。
当院で採用しているピロリ菌検査は5種類あり、それぞれについて簡単に御説明致します。
①尿素呼気試験
ピロリ菌検査の中で最も信頼性が高く、簡便に出来る検査です。
実際の方法は
空腹の状態で呼気を採取します(写真の青いバックに取ります)。
その後にユービット錠を1個飲み、胃の中でピロリ菌と20分程度反応させます。
再度呼気を採取して、2回分の呼気を検査してピロリ菌の有無を調べます。
当院には専用検査機器(POC one)もあるため
検査したその場で結果を御説明致します。
ピロリ菌の除菌判定には最も適した検査です。
②迅速ウレアーゼ試験
内視鏡で採取してきた胃粘膜から、ウレアーゼ活性を利用してピロリ菌を調べます。
胃カメラの検査中に、ピロリ菌感染を疑った方にはこちらの検査を行います。
当院では、大塚製薬の「ヘリコチェック」を利用しており
ピロリ菌がいれば、黄色い溶液がピンク色に変色します。
多くの場合は数分で変色するために、検査後すぐに結果を説明出来ます。
当院では2か所の胃粘膜を採取することで、より正確にピロリ菌検査を行っています。
③血中抗体測定
採血検査で、血液の中のピロリ菌に対する抗体をチェックします。
当院ではABC検診として血中抗体を測定する患者様が多いです。
ただ、ピロリ菌の除菌判定には使用できません。
④尿中抗体測定
尿を採取して、尿の中のピロリ菌に対する抗体をチェックします。
当院では大塚製薬の「ラピラン」を使用しています。
結果はその場で説明出来ますが
この検査もピロリ菌の除菌判定には使用できません。
⑤便中抗原測定
便を採取して、便の中のピロリ抗原を測定します。
信頼性の高い検査ではありますが、便を採取することの煩わしさと
結果説明まで2-3日要することもあり、当院ではあまり行っていません。
当院で採用していない検査も2種類あります。
①培養法
内視鏡で採取してきた組織をすりつぶし5-7日培養します。
日数もかかるため実際の臨床ではあまり行われていません。
②組織鏡検法
内視鏡で採取してきた組織を染色して顕微鏡でピロリ菌を探す検査です。
胃癌等を疑って採取した胃粘膜に、ピロリ菌が検出されることは良くありますが
ピロリ菌検査の目的だけに組織診断をすることはありません。
ピロリ菌検査では、完璧な検査方法はありませんので
それぞれの検査の特徴を生かして、臨床の場で判断して検査を行っています。
特に胃潰瘍・十二指腸潰瘍の方や激しい胃炎の方には、2種類の検査を組み合わせてでも
ピロリ菌の検出に努めています。
ピロリ菌感染について聞きたいことがあれば、いつでもご相談下さい。